家族が亡くなった後でやるべきことはいろいろと出てきます。
今回紹介する遺品整理もその中の一つです。

遺品整理を自分たちで行えればいいかもしれません。
しかしなかなか時間が取れない、実家が遠方なのでそう何度も足を運べないといった人もいるでしょう。
そんな時には遺品整理を行っている業者に依頼するのも一考です。

ここでは遺品整理に関して、覚えておくべきことについて詳しく見ていきます。

遺品整理を自分で行う際に注意すべきことを紹介

時間的に余裕がある、近所である場合には自分で遺品整理してもいいかもしれません。
しかし自分で遺品整理する際に注意しなければならないポイントについてまとめました。
実際に作業する際の参考にしてください。

遺品整理を始めるタイミング

遺品整理のタイミングとしておすすめなのは、ひと段落着いたときです。
具体的には葬儀後や四十九日などの法要後、相続前などが考えられます。
ある程度時間が経過して心の整理もついたでしょうし、親族が集まっているので遺品整理に関する話し合いもスムーズにできるからです。

しかし遺品整理をするタイミングについて、特別決まりはありません。
心の整理がつかず、何年も実家をそのままにしている人も少なくありません。

ただしもし故人が住んでいたのが賃貸物件であれば、退去の問題も出てきます。
先延ばしにもできますが、その間ずっと家賃を支払い続けないといけません。
また亡くなった後の原状回復問題について、大家さんと取り決めがある場合も考えられます。
管理会社や大家さんとコンタクトを取って、どうなっているか確認しておくといいでしょう。

捨ててはいけないものもある

遺品整理をするにあたって、不要なものは処分しても構いません。
しかし中には捨ててはいけないものもあるので、注意しましょう。

遺言書を発見したら、絶対に捨てないように注意してください。
遺言書を勝手に捨ててしまうと、罪に問われる可能性があります。
またたとえ遺産相続の権利を有していても、その権利は、はく奪されます。
遺言書を見つけたら勝手に捨てたり開けたりせずに、相続人を呼びその内容を確認してください。

現金や預貯金も、勝手に使うことはできません。
遺言書がなかった場合でもお金が遺産分割の対象になるので、相続人全員の合意が得られるまでは勝手に動かせません。
もし勝手に動かしてしまうと、着服に問われる恐れもあります。

そのほかにも株式などの有価証券や貴金属、骨とう品などの金銭的な価値のあるものも勝手に自分のものにしないことです。
いずれも遺産分割の対象になるからです。

家族が亡くなると、遺族などがいろいろな手続きを済ませないといけません。
その時処分してしまうと手続きに困るものがあるので、勝手に遺品整理で処分しないことです。
まずは身分証明書です。
これがないと、役所における諸手続きができなくなる恐れがあります。

また通帳やキャッシュカードも捨てないようにしてください。
相続手続きに入ると、故人の口座はいったん凍結されます。
凍結を解除するためには通帳やキャッシュカードが必要です。

クレジットカードも残しておきましょう。
解約する際にカード番号などの情報が必要だからです。

無理のないペースで進めること

遺品整理を自分で行う際に、1度で終わらそうとして頑張ってしまう人も少なくありません。
しかし遺品整理は思っている以上に、時間がかかると思ってください。
それで無理をしてしまうと肉体的にも精神的にも疲弊してしまって、途中で挫折してしまう恐れがあるからです。

とくに夏場、日本各地で厳しい暑さに見舞われます。
古い住宅だとエアコンを設置していない、故障していて使えないといったこともあるでしょう。
そんなところで長時間遺品整理の作業をしていると、熱中症になってしまうかもしれません。
体力的に厳しいと思ったら、無理せず休憩したり、後日に回したりしましょう。

遺品は分類するのがおすすめ

遺品整理するにあたって、分類しておくのがおすすめです。
分類することでどれを残せばいいのか、どれを処分してかまわないのかがわかりやすくなるからです。
遺品整理する場合、4つに分類すると整理がスムーズに進みます。

まずは貴重品です。
通帳やクレジットカード、土地の権利書などの不動産関係の書類、貴金属などが該当します。
いずれも財産相続に関係してくるので、処分する際には税理士や司法書士に相談するのがおすすめです。

2つ目は形見です。
写真や手紙、趣味で集めていたコレクションなどです。
これらは残しておいて、家族や親族と話し合って誰がどれを引き取るか話し合っておきましょう。
いわゆる形見分けというものです。

3つ目はリサイクルです。
テレビやパソコンなどまだ使える家電や家具、金属関係などは再利用できる可能性があります。
リサイクル業者などに査定に出せば、いくらかで買い取ってくれるかもしれません。
また値がつかなかったものでも、種類によってはNPOや福祉施設に寄付することもできます。

最後が廃棄です。
再利用できそうにないもの、別に思い入れのないものであれば、ゴミとして処分するといいでしょう。
自分たちでゴミとして出すのであれば、燃えるゴミや燃えないゴミなどその地域のルールにのっとって処分してください。
一定の大きさ以上になると、粗大ゴミとして処分しなければなりません。
自治体ごとに粗大ゴミの条件や処分方法が異なりますので、自治体のホームページなどでその手順を確認してください。

遺品整理業者を選ぶ際のポイント

自分たちで遺品整理するのが難しければ、遺品整理を行っている業者にお願いするのも一考です。
遺品整理業者は日本各地にたくさんありますが、その中でどこに依頼すればいいのでしょうか?
業者を探すにあたって、以下のポイントを意識してみるといいでしょう。

1.遺品整理士が在籍している
2.許可の有無
3.料金体系が明確か
4.複数のところで見積もりを取る
5.サービスの充実度
6.地域密着の業者がおすすめ

それぞれなぜ重要なのか、以下で詳しく見ていきます。

遺品整理士が在籍している

まず遺品整理に関するプロが在籍している業者の方が、やり方に精通しているので安心して任せられます。
そこでチェックしたいのが、遺品整理士です。

遺品整理士とは、遺品整理士認定協会という一般社団法人の主催する資格です。
養成講座を受講し、試験に合格して初めて資格取得できます。
この資格を有しているのなら、遺品整理に関連する法律や供養のやり方など遺品整理に関するありとあらゆる知識を有していることがわかります。

許可の有無

遺品整理の中では不用品を処分する工程があります。
一般家庭から出た不用品を処分するためには、「一般廃棄物収集運搬業許可」が必須です。

もしこの許可を受けずに不用品を処分してしまうと、違法行為に該当します。
無許可業者は悪徳業者である可能性が高いので、きちんと許可を受けているかどうか確認してください。

ただし業者が資格を持っていなくても、許可を受けている業者と連携していれば問題ありません。
業者が遺品整理の作業を進め、不要なものは提携先の業者に任せる形になります。

料金体系が明確か

ホームページなどで料金体系をわかりやすく表示しているかどうかも、業者を見分ける際のポイントです。
料金システムがサイトのどこにも掲載されていない、表示されていてもわかりにくいところは避けたほうが賢明です。結局いくらかかるかわからないので、依頼して初めて高額請求されたことに気づく場合もあり得ます。

同様に遺品整理はケースバイケースなので、いったん見積もりをお願いする必要があります。
見積もりを取った時に金額ばかりに目が行きがちですが、その内訳もしっかり確認しましょう。
細かく内訳が記載されている業者の方が、信頼できます。
人件費や運搬費、処分費、清掃費と細かく分けられていると見積もり価格の精度も増します。
よって追加料金を請求されるような心配もありません。

複数のところで見積もりを取る

見積もりの話が出ましたが、見積もりを取る際には複数の業者からとることも忘れないでください。
同じ内容の遺品整理でも、各業者独自の基準を設けています。
よって見積もり価格も結構変わってくる場合があるわけです。

見積もりをお願いする際には、電話やメールだけでなく現地で査定してもらうことも大事です。
電話やメールだけでは、どれを処分すればいいかなど、なかなか詳しいことはわかりません。
現場を実際に見てもらえれば、より正しい見積もり価格を提示できるわけです。

見積もりを取るだけなら無料というところが多いです。
ですから複数から見積もりを取っても、懐が痛む心配はありません。
できれば2〜3社に依頼して、相見積もりを取りましょう。
そして見積もり価格やその内容を比較して、一番納得できたところに依頼すれば満足度は高いでしょう。

地域密着の業者がおすすめ

遺品整理業者を探すにあたって、地域密着型の業者がおすすめです。
自分たちがお願いしたい地域で営業している業者であれば、現場に急行してもらえますしスムーズな作業が期待できるからです。

地域とのつながりも深いので信頼も厚く、安心して任せられるでしょう。
また事業所と現場の距離もさほどないので、頻繁にコミュニケーションが取れるのもメリットの一つです。

遺品整理のまとめ

自分の家族が亡くなった場合、そうそう人生で経験することではないので何をどうすればいいか戸惑ってしまうこともあるでしょう。
各種手続きを済ませないといけないと同時に、遺品整理も進めていかなければなりません。

自分で遺品整理をする場合には、何を残さないといけないのか、どれなら処分しても構わないのか分類しながら作業を進めるといいでしょう。
ただ遺品整理は思っているよりも時間がかかるので、遠方の住宅など自分たちだけでは厳しいというのであれば業者に依頼するのも一考です。
業者に依頼する際には遺品整理士など遺品整理のエキスパートが在籍しているか、許可を得ているかなどで候補を絞り込んでください。
また複数から見積もりを取って、金額やその内容を比較して最終的に依頼先を決めるといいでしょう。